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大松閣について

≪ご挨拶≫

 

「いつも当館にお越し頂き、ありがとうございます。お子様、大きくなりましたね」

 

大正3年から続く当館には、世代を超えてごひいきにしてくださるお客さまがたくさんいらっしゃいます。

 

初めて訪れた時はまだ小さな子供だった、あるお客様。

成人して家庭を持ち、そのご子息を連れていらしてくださいました。

また、あるお客様はご高齢の両親と一緒に、たびたび当館を訪れてくださいます。

これまでの思い出を噛みしめながら過ごされているお姿に、私たちも心が温まります。

 

私共の至上の喜びは、ご家族の成長を共に祝い、親から孫までその人生に寄り添うことです。

いつまでも、お客様の“帰る場所”として…

幾世代先まで存在し続ける旅館でありたいと願っています。

 

社長 柏木宏泰 

女将 柏木由香

 

 

 

 

≪コラム「名栗温泉」≫

 

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ご滞在をさらに充実させる秘訣も!当館にまつわる3つの物語をご紹介いたします。

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木になる郷」を掲げる理由


なぜ大松閣は木にこだわるのか?それには、この土地の歴史と深いかかわりがあります。

 

 

当地・名栗を含む埼玉県の南西部は、かって木材の一大生産地として、日本の中枢である江戸・東京の繁栄に貢献してきた歴史があります。

「江戸の西側から川を下って運ばれる木材」ということで、「西川材」と呼ばれた当地の木材は、古くは江戸時代に大火事の復興用材として。近代では戦後の復興期や関東大震災の際に盛んに利用されておりました。

名栗温泉大松閣は、そのルーツを材木商にもつ企業です。木材のあたたかみがいかに人の心を和ませるものか、よく心得ております。

ですから私たちは、館内の内装をはじめ、お部屋の調度品や小物にも、木の製品を積極的に取り入れています。旅館裏手に広がる「ワクワクの森」は、植林された土地を間伐して作った森の遊び場です。

時には旅館の内外の木々に目を向けて、その木目を眼で楽しみ、手や足裏に触れる肌触りをじっくり感じてみると、より癒しのご滞在となることでしょう。

 

 

 

 

創業秘話 -材木商をルーツに-


大松閣の創業は大正3年。お客様のおかげで100年以上の歴史を重ねています。

 

 

そもそも鉱泉が見つかったのは、およそ800年前と伝えられています。とある猟師が、香りのする泉で傷を癒す鹿の姿を見つけて、その鉱泉の薬効に気づきました。

それ以来この鉱泉の水は、地域住民から薬のように重宝されてきました。

時は移り、明治の末頃。この鉱泉を湯治に利用した宿が開業します。しかしそれが立ち行かなくなり、村で土木業・材木業を営んでいた柏木代八がこれを譲り受けます。木材の販売促進のために「生産地と消費地(東京)を結ぶ場としてこの旅館を活用しよう」と考えたのです。

代八は早速、家業である土木業を用いて、旅館の周りの整備を始めました。

ところで、お客様は当館にいらした際、大通りを左に曲がった後、目の前に突然旅館があらわれる光景に驚かれるかもしれません。

実はこちら、代八のしかけなのです。川と道路を建物の手前で蛇行させて造成し、まるで外界から隔絶したような旅館の姿を演出しています。

一方で、代八は建物にもこだわりました。若手大工「浅見松三」と共に、全国の旅館を視察して巡ります。

こうして、小さいながらも凝りに凝った木造2階の旅館が完成します。 「代八」と「松三」の名前を合わせて「大松閣」と命名され、当館の歴史がはじまりました。

この土地の魅力を活かしつつ、時には大胆にその魅力を発掘することは、私たちのルーツであり、受け継がれてきたDNAなのです。

 

 

 

旅の歌人が見た名栗渓谷


「幾山河 越えさり行かば 寂しさの はてなむ国ぞ けふも旅ゆく」

学校の教科書にも採用されたこの歌。明治-昭和にかけて凡そ9000首もの歌を詠んだ歌人・若山牧水の、代表作のひとつです。

 

 

実は名栗温泉には、大正6年と9年の2度に渡って逗留された記録が残っています。

牧水にとって、故郷・宮崎東郷町を離れて東京に住んでいた時期にあたります。秩父、飯能の景色のなかにふるさとに似たなつかしさを見出し、度々足を運んでは歌を残していたということです。

現在、大松閣の入口には、ここで詠まれた歌の碑があります。

「ちろちろと 岩つたふ水に 這ひ遊ぶ 赤き蟹いて 杉の山静か」

(平成2年に村の有志によって建てられたもの。題字:大野篁軒氏)

ちなみに、「牧水」という名前はペンネームです。その由来は「最も愛しているものの名前2つをつなぎ合わせたもの」。「牧」は母の名前「まき」に由来し、「水」は「生家の周りにある渓(たに)や雨」に由来しているとのこと。

旅の歌人の心を打つ光景が、ここ名栗渓谷にあったのかもしれません。

大正の頃とは様変わりしている当地ですが、「赤き蟹」も「静かな杉の山」も、今なお残っています。この歌には、連綿と続く自然の本質が描き出されているかのようです。

 

 

 

 

≪略年表「大松閣の歩み」≫

 

創業からの足跡と未来への抱負をご覧ください。